2013-05-10から1日間の記事一覧

嘘と戯れる―須田悦弘の演劇性―

美術館の床に雑草が生えている。現代美術作家、須田悦弘の作品である。須田は精巧な木彫を様々な場所に置くことでそれをインスタレーションとして展示する。木彫のモチーフとなるのは一貫して植物であり、作品は部屋の片隅などに、あるいは専用の展示ボック…

革命と日常(映画美学校アクターズ・コース初等科第2期修了公演『革命日記』レビュー)

そもそも革命という言葉が意味するのは既存の価値観や体制の転覆であり、だらだらと続く日常が途切れるその瞬間にのみ立ち現れるものとして革命はある。ゆえに革命を志す者もまた、革命が達成されるその瞬間までは日常の中に生き続けるしかない。革命への意…

平田オリザと松井周について

【この文章は映画美学校アクターズ・コース初等科第2期修了公演『革命日記』の企画の一部として執筆したものです。映画美学校アクターズ・コースブログhttp://eigabigakkou-shuryo.hatenadiary.jp/より再掲しました。】 今回、稽古場を見学していて「新鮮さ…

範宙遊泳『さよなら日本-瞑想のまま眠りたい-』について2

もう少し文字の扱いについて考えてみようと思う。作品の中である登場人物は「あ」という文字を失い(発声することができなくなり)、その「あ」はなぜか立体化/実体化して別の登場人物に飼われることになる。感情によって色を変えるという「あ」は人間の腰…