劇団子供鉅人『逐電100W・ロード100Mile(ヴァージン)』

シェイクスピアマクベス』で国外へと放逐された二人の王子に焦点をあてた言わばマクベス・スピンオフ作品。『マクベス』をネタにやりたい放題かと思いきや、なかなかどうしてシェイクスピアを引き受けようとしていて好感。特に修辞を凝らしたセリフの応酬はこれぞシェイクスピア!といった感じで耳にも心地いい。役者は総じて魅力的で全体の完成度も高し。東京引っ越し一発目のご挨拶としてはちょっと上品過ぎやしないかいとも思わなくもないけれど、それはもちろん劇団の新たな一面を見せている作品だってことと裏表なのであって。

客席が舞台上にコの字型に設営されててコの字の縦線の部分が本来の客席に向かい合ってるんだけど、この配置はあんまり意味がなかったような……?本来の客席と舞台の配置で今回の演目を見たら役者と観客との距離が遠過ぎて作品の魅力はおそらく半減なのだけど、客席と舞台を近づけるためだけにあの配置にしたのだとしたらそれはどうなんだっていう。客席に向かい合うことにあんまり意味はなくて、舞台の向こうに空間的な広がりが欲しかったってことかしらん。