2013-05-01から1ヶ月間の記事一覧

演劇をめぐる言葉について

この文章はワンダーランドに掲載された『紙風船文様』のクロスレビュー(http://www.wonderlands.jp/archives/23433/)への西尾さん(『紙風船文様』構成・演出)の応答(http://www.wonderlands.jp/archives/23742/#more-23742)から派生したやりとり(http…

範宙遊泳『さよなら日本-瞑想のまま眠りたい-』について4.5

ナンパされた男と寝て処女を捨てたヨーコは「全然大したことないじゃん」と言って「あ」を抱きしめる。相手の男はそこには表象されない。彼はヨーコの人生の中で重みを持たず、それよりも「あ」の存在の方が彼女にとってはリアルなのだ。文字として示される…

範宙遊泳『さよなら日本-瞑想のまま眠りたい-』について4

冒頭の「モノ」ローグが終わるとハヤシエリコという女性が登場する。彼女は周囲の人間に点数を付けている。道に唾を吐いたら10点、すれ違いざまに舌打ちをしたら3点。バイト先の店長は少し前まで86点だったが色々あって今は1点だ。続けて登場する店長はハ…

範宙遊泳『さよなら日本-瞑想のまま眠りたい-』について3

昼に2回目を観てきた。佐々木敦×山本卓卓のアフタートークでは「今の人たちは日常的に文字とコミュニケーションしている」「文字が出てくるとそれを読んで想像するから、荒唐無稽な内容でも観客と同一化する部分が必ず出てくる」といった話が出た。前回観た…

嘘と戯れる―須田悦弘の演劇性―

美術館の床に雑草が生えている。現代美術作家、須田悦弘の作品である。須田は精巧な木彫を様々な場所に置くことでそれをインスタレーションとして展示する。木彫のモチーフとなるのは一貫して植物であり、作品は部屋の片隅などに、あるいは専用の展示ボック…

革命と日常(映画美学校アクターズ・コース初等科第2期修了公演『革命日記』レビュー)

そもそも革命という言葉が意味するのは既存の価値観や体制の転覆であり、だらだらと続く日常が途切れるその瞬間にのみ立ち現れるものとして革命はある。ゆえに革命を志す者もまた、革命が達成されるその瞬間までは日常の中に生き続けるしかない。革命への意…

平田オリザと松井周について

【この文章は映画美学校アクターズ・コース初等科第2期修了公演『革命日記』の企画の一部として執筆したものです。映画美学校アクターズ・コースブログhttp://eigabigakkou-shuryo.hatenadiary.jp/より再掲しました。】 今回、稽古場を見学していて「新鮮さ…

範宙遊泳『さよなら日本-瞑想のまま眠りたい-』について2

もう少し文字の扱いについて考えてみようと思う。作品の中である登場人物は「あ」という文字を失い(発声することができなくなり)、その「あ」はなぜか立体化/実体化して別の登場人物に飼われることになる。感情によって色を変えるという「あ」は人間の腰…

範宙遊泳『さよなら日本-瞑想のまま眠りたい-』について1

普段はブログの記事にしろ劇評にせよ、ちょっとずつ推敲しながら何日かかけて書くのだけれど、しばらくはスピード重視で考えたことを書けるところまで書くということをやってみようと思う。というのも、前はTwitterではネタばれとかあまり気にせずにバンバン…