2014-01-01から1年間の記事一覧

contact Gonzo『xapaxnannan:私たちの未来のスポーツ』

contact Gonzoの新作は京都サンガF.C.の本拠地でもある西京極スタジアムで「上演」された。2万人収容の巨大スタジアムで「上演」された作品のタイトルは『xapaxnannan(ザパックスナンナン):私たちの未来のスポーツ』(以下『xapax』)。ゴンゾのメンバー…

オオルタイチ+金氏徹平+西川文章「ミュージックのユーレイ」

金氏徹平『四角い液体、メタリックなメモリー』展示空間でのイベント第2弾は音楽ライブ。 幽霊の衣装でオオルタイチが登場すると、金氏徹平の展示物のアクリルボードで作られたブースに入りお経(?)を唱える。お経が終わるとアクリルボードに油性マジック…

ルイス・ガレー『メンタルアクティヴィティ』

ところどころが液体で濡れ、黒のペンキらしきもので汚れた板敷きの舞台。舞台奥には三基の照明が立ち、強烈な光を客席に向けて発している。客席の明かりが落ちてしばらくすると、光の向こう側から何かが飛んでくる。ベルト、ペットボトル、コンクリートブロ…

劇団子供鉅人『逐電100W・ロード100Mile(ヴァージン)』

シェイクスピア『マクベス』で国外へと放逐された二人の王子に焦点をあてた言わばマクベス・スピンオフ作品。『マクベス』をネタにやりたい放題かと思いきや、なかなかどうしてシェイクスピアを引き受けようとしていて好感。特に修辞を凝らしたセリフの応酬…

藤田貴大演出『小指の思い出』

難解、台詞が聞こえないとの前評判に怖れをなしていたがそんなことは全然なく。台詞はほぼほぼ聴き取れたし、演出や構成に関しては野田秀樹の戯曲をきちんと整理してわかりやすく提示していたように思う。特にいくつかの場面を冒頭に寄せてプロローグの形で…

She She Pop『春の祭典——She She Popとその母親たちによる』

ドイツの女性パフォーマンス集団She She Popはかつて、『リア王』をモチーフに自らの父親たちと『Testament』という作品を作り上げた(筆者は未見)。自らの母親たちとの共同作業による今作『春の祭典』はその続編とでも言うべき作品である。『春の祭典』を…

KAIKA『gate #12』

劇団しようよの大原渉平ディレクターによる3団体×2プログラム、計6団体による試演会。KYOTO EXPERIMENT2014フリンジ企画オープンシアターエントリー作品。 各演目間の転換の5分でそれぞれの作・演出の話を聞くコーナーがあるのはよかった。 以下、ほとん…

板垣賢司+ 森千裕+ 横山裕一+金氏徹平「トレースのヨーカイ」

金氏徹平の展示『四角い液体、メタリックなメモリー』の二つの展示空間のうちの一つ、京都芸術センターギャラリー南で行なわれたライブペインティングパフォーマンス。今回の金氏の展示は「琳派」というお題に応える形で企画されたものだという。「琳派」は…

ルイス・ガレー『マネリエス』

薄明かりに立つ女性ダンサー。衣装は黒の上下の下着のみ(と言ってもセクシーな感じは微塵もなく、スポーティな印象)。目を凝らしてようやくダンサーの姿が幽かに見える程度に光量は絞られている。輪郭がぼやけて見えるのはダンサーが痙攣しているのかそれ…

村川拓也『エヴェレットゴーストラインズ』

大筋は去年の『エヴェレットラインズ』(こちらを参照のこと)から変わらないものの、全体の構成や照明などの演出はより丁寧に。上演中、誰もいない空間に照明があたる瞬間が何回かあるのだけれど、その瞬間に象徴されるように、不在によりはっきりとフォー…

ルビンの壷、あるいは演劇 村川拓也論

はじめに 村川拓也の演劇作品はルビンの壺に似ている。ルビンの壺とは図地反転図形の1つ、壺にも向き合う2人の人物の顔にも見えるというあの図形の名前である。 たとえば、村川の演劇作品『ツァイトゲーバー』『言葉』『羅生門』ではそれぞれ「介護」「被…

東京都現代美術館「新たな系譜学を求めて−跳躍/痕跡/身体」+α

チョイ・カファイのレクチャー&デモパフォーマンスとダムタイプ高谷史郎のトークを目当てに初日に。 どうせ何回か来ることになるので今回は映像はごく一部しか見なかったけど(映像はめちゃめちゃいっぱいあるので全部見ようと思ったら一日がかりなのではと…

あごうさとし『純粋言語を巡る物語−バベルの塔Ⅰ−』

役者不在の演劇(=観客が動かされることによって生起する演劇?)だったという前回公演『−複製技術時代の演劇−パサージュⅢ』が好評だったので今回の公演を予約。今回はまた新たなシリーズの第一弾ではあるものの、前回までの実践を踏まえた試みであると思わ…

『ゼロ・グラビティ』

映画『ゼロ・グラビティ』にはスクリーン、あるいはカメラの存在を強く意識させる瞬間が二度ある。一度目はストーン博士が国際宇宙ステーションの通信設備にたどり着くあたり、二度目は彼女が大地を踏みしめるラストシーンだ。国際宇宙ステーションでは空中…