2016-03-09から1日間の記事一覧

柴崎友香『春の庭』論(ペネトラ5、2014年11月)

世界は無数の時間の織りなす綾としてあり、柴崎友香の小説はその様を精緻に描き出す。わたしの、あなたの、モノの、現在の、過去の、未来の、そしてフィクションの時間。無数の時間はもつれ、より添い、重なり合い、あるいは一瞬の交錯を経て離れていく。そ…

移人称/演劇/鳥公園(In-vention第3号、2015年2月)

文芸評論家・渡部直己は「今日の「純粋小説」——『日本小説技術史』補遺」(新潮2014年10月号)を「移人称小説の群れ」と題した節からはじめている。渡部は小野正嗣『森のはずれで』(〇六年)、岡田利規『わたしたちに許された特別な時間の終わり』(〇七年…